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鍼灸院の選び方

題名は「鍼灸院の選び方」ですが、内容的には「良くない鍼灸院の見分け方」と言ったほうが良いかもしれません。また、鍼灸院に限らず整骨院や整体院といった施術所でも当てはまる内容のため、「鍼灸院」ではなく「施術所」と記載している部分もあります。
次の2つのパターンに分けてみました。
【1】行くのを考えたほうがよい施術所
【2】治療技術とは関係ない、もしくは良い施術所であるか関係ない情報
 
 
【1】行くのを考えたほうがよい施術所
西洋医学を完全否定する
鍼灸師の中には「西洋医学なんて効かない」と端から否定し、鍼灸適応外の疾患・症状でも施術を試みようとする鍼灸師が存在します。しかし、これはいけません。鍼灸で全ての疾患・症状を治せる訳がなく、当然病院へ行かなければならない場合があります。できれば最初の段階で病院が良いのか鍼灸適応なのか判断し、それが難しい状況でも治療の途中で効果がないと判断した場合は病院受診を勧めなければいけないこともあります。
 
WHO(世界保健機関)が定めた鍼灸適応疾患を掲載している
WHOは国連の機関ですからそれだけで信用する人が多いです。そのため鍼灸院のHPでWHOが認めた適応症として引用しているのをよく見かけます。しかし、「WHOが認めた適応症」というのはどうやら都合の良い解釈のようで、実はそうではないということです。実際治療を行ってみるとWHOの疾患でも全く改善しないものもあります。WHOのデータをそのまま載せている鍼灸院は、自院で対応可能な症状、得意な症状は無いと言っているようなものです。
 
有効率○%とか改善率○%と書いてある
これはどうやって調べるのでしょう?効果があっても効果を感じなくても突然来院しなくなる感患者さんが一定数います。一人一人電話やメールで確認しているのでしょうか?もしそうだとしても日本人は優しいので、改善しなくても「良くなったので一先ず様子見ます」なんて言ってくれますので本当のことはわかりません。もっともらしく見せるため90.1%みたいに小数点以下の数字まで記載しているところもありますが、医学的に全く根拠のない数字です。
 
絶対に治ります!と断言する
「絶対治るので諦めずに頑張りましょう!」なんて聞こえは良いですが、私からすると効果がでないのでいつまでも通わせる言葉に見えます。もちろん我々は絶対治すという気持ちで施術しますが、絶対治りますとは逆に絶対言えません。人間の体は実に不思議で同じような症状でも人それぞれ効果の出方が違います。改善させる自信のある症状でも中には効果があまり出ないときもあります。薬だってよく効く人とそうでない人がいるのと同じです。神様ではないのですから絶対治りますなんて断言することはできません。
 
治療費がとても高い
料金・価格が高いと一般的には「良いもの」「良いサービス」ですが、鍼灸では料金の高さと技術はあまり関係ありません。どんな症状でも一発で治せるならウン万円でも良いかもしれませんが、慢性症状は一回では治りません。鍼は魔法ではありません。一回で症状が取れることもありますが(それでも原因は取り切れない)、通常は複数回の治療が必要です。ですから一回の料金が高すぎると治療を続けられなくなってしまい、治す機会を失ってしまいます。治せる先生は良心的な料金でやっていることが多いのです。
 
物品を売りつける
施術だけで食べていけないので、高額なサプリや健康グッズを買わせようとする施術所。ただし、鍼灸院の場合ですと治療に直接関係する温灸や置き鍼などの場合は別です。当院では効果が期待できる場合に置き鍼のみ販売することがあります。押しつけはしません。それでも置き鍼をすすめると「小銭稼ぎですか?」とか「怪しい商売みたいですね」なんて失礼なことを言われることもあります。置き鍼を売ったところで殆ど利益は出ませんので、少しでも楽になればと思って提案しているのですけどね。
 
 
【2】治療技術とは関係ない、もしくは良い施術所であるか関係ない情報
ネットの口コミがやたらと多い
多くのかたがネットの口コミを参考にしていますが、鍼灸院やその他施術所に関しては口コミの数や内容はあまりあてになりません。飲食店などと違って我々の業界は患者さんが進んで口コミを書くことはあまりありません。似たような例としてあなたが病院に行って症状が良くなったとして口コミを書くでしょうか?ほとんどの人は良くなっても悪くなってもわざわざ口コミなんて書きません。どちらかというと悪いことは書きたくなります。
 
やたらと良い口コミが多いのは、割引するので口コミ書いてくださいとお願いしていたり、業者を使っていたり、自作自演だったりします。これには良い見分け方があります。行きたい施術所の近くの総合病院の口コミを見てみましょう。通常、総合病院の患者さんの数は施術所よりも圧倒的に多いです。一日の患者さんは数十倍から百倍以上かもしれません。ということは本来口コミの数も大体それくらいの比率になるはずです。
 
総合病院は口コミを書いてくださいなんて言いませんから口コミの数も内容もリアルな口コミに近いです。ですから施術所の口コミが病院より割合的に多すぎる場合はどういうことかおわかりでしょう。また、良い鍼灸院は一人の患者さんの治療に時間をかけますから沢山の予約枠を設けることができません。そのため良い口コミを書いてその鍼灸院が繁盛してしまうと自分の予約が取れなくなってしまうので良い口コミは増えない傾向があります。
 
HPに喜びの声が掲載されている
これも口コミと同様、喜びの声を患者さんが自発的に書くことはありません。本当に患者さんが自筆で書いているとしても、それはお願いして書いてもらっています。ということは良いことしか書けませんし話も盛るので本当に良い施術所か判断する材料にはなりません。他のサイトでも良い治療院の選び方を書いているところがありますが、喜びの声があるのは患者さんと信頼関係があるから良いことなのだとか。しかし割引するので書いてくださいとお願いしていることもあります。そこには信頼関係も何もありません。
 
先生の肩書がやたらと多い
日本人は肩書に弱いですからね。〇〇カウンセラー、〇〇アドバイザー、〇〇士なんてのを沢山取得して、〇〇学会、〇〇会というのにも沢山所属しているといかにも勉強熱心で優秀な先生なんだろうと思いますね。あと〇〇研究会なんてのを自分で作ってしまい、自分しかいなくてもそこの代表を名乗ってしまうというのも凄い人と思わせることができます。しかし、これらは治療技術とは全く関係ありません。いろいろな勉強をすることは良いことですが、資格を沢山取っても治せる先生にはなりません。鍼灸師は職人のようなものです。机上の勉強も大切ですが沢山手を動かさなければ治療技術は向上しません。学者や研究者タイプの鍼灸師になるのであれば別ですが。
 
ランキングサイトやBEST○○に紹介されている
これも口コミ同様参考にしている人が多いかもしれませんが、あまり意味がありません。大体お金を払うとランキングが上がったり上がりやすい仕組みになっていたりします。実際、私のところにも掲載しませんか?本を書きませんか?なんて話がきますが、今まで来たのは全部お金を払えばという話でした。本当に良い鍼灸院や施術所はそういうところには掲載されず、ひっそりとやっています。なぜなら露出が増えることで一時的には患者さんやお客さんが増えますが、既存の患者さんや本当に困っている人を診れなくなってしまうことと、そんなことをしなくても患者さんやお客さんが来てくれるからです。